★腰椎椎間板ヘルニアについて 小野 ページ作成中

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整形外科的な理解

なぜヘルニアが起きるのか?

病院・整形外科
スポーツで体を激しく動かしたり、日常生活で重いものを持ったりすると、椎間板に強い圧力がかかり、髄核(椎間板の中央にあるゼリー状の軟骨)が突出して生じることがあります。また、長時間の前かがみや中腰などの体勢も原因
他の治療院
猫背や反り腰、長時間同じ体制での作業や体に合っていない場所での作業は椎間板ヘルニアの大きな原因。

一般的なヘルニア治療は?

病院・整形外科
鎮痛薬、湿布、注射
重症度が高いと手術が勧められる。
他の治療院
局所:マッサージや鍼、矯正など。温熱、ストレッチ、電気など。
全体:ヘルニア部位以外からのアプローチ。アライメント調整や筋膜といった総合的に行われる。

検査・鑑別

・SLR(下肢伸展挙上)テストは引き抜き損傷のリスクがあるため、基本的にはNG。やる場合には圧を加えながら行うこと。
・FNS(大腿神経伸展)テストも同上。痛みの誘発テストは基本的に避ける。
・画像診断はレントゲンでは確定できない。MRIで確定される。血液検査は炎症反応値を見たりするので、リウマチや内科的問題があるかを省くために行われる。

構想医学的な理解

ヘルニアの根本的な原因と診立ては?

「神経は圧迫よりも牽引に弱い」にあるように、圧迫による影響だけで神経痛が出るとは考えにくい。

痛みはないがヘルニアになっているのを無痛性ヘルニアと言い、実はこの症例がたくさんあることをみても、圧迫が原因でないことがわかります。ポイントは周囲の筋肉の緊張や固さにより神経が牽引されそれに伴う炎症反応が起きた結果、神経痛が起きている。

※もちろん、広範な圧迫を引き起こす正中ヘルニアなどもあるため、一概にすぐ治るとは言えない。まず急性期の疼痛が引けば、落ち着いて局所以外の部分に目を向けることができる。

ヘルニアって軟骨がプチっと一部飛び出て、それが神経を圧迫していることはご存知かと思います。実はそれだけでは症状は起きないんです。実際、健康な人の腰をレントゲンで撮ると7~8割の方がヘルニアがあると言われています。ポイントは2つあります。

椎間板ヘルニアは圧力の不均衡によって起きるものと推察される。椎間板の脱出方向が後方なのは構造的な課題と腰椎の生理的前弯がなくなり、後弯した状態で後部線維の脆弱性という変性要因がある。そもそもその状態を作る要因は
①歩行不足:腰椎前弯はもとより、骨盤クランク運動からくる生理的捻転力で後方の応力集中を開放する。
②骨盤後傾の座り習慣

①捻じれ応力の発生

ヘルニアは一か所だけが悪くて起きる問題じゃなくて、全体像(マクロ)としては捻じれる力(捻転力)が腰に発生し、局所(ミクロ)においては牽引力が起きていることが問題です。

雑巾を絞るときに引っ張る力を与えているはずです。牽引力は椎間板内部の急な膨張力を与え、圧力の逃げ場は繰り返されて傷ついた線維輪の対応力の弱い部分で脱出していく。

椎間板の後外側は靭帯の補強を受けていないため、後方に脱出しやすい。
椎間板は前方を前縦靭帯が、後方を後縦靭帯が補強していますが、後外側は靭帯の補強を受けていないという解剖的特徴があります。

1)AS(寛骨前上方回転、腰椎前弯の軽減)とPI-t(寛骨後下方、腰椎前弯の増強)の合併による腰椎に加わる捻転力の発生

2)PI-t単独(および両側PI-t)による腰椎前弯の増強が起こすことで、生理重力線からの逸脱を椎間板内の髄核(圧力分散点)が後方へ応力が発生(バラストポンプ機構)

※髄核の主な構成成分は『水、プロテオグリカン、コラーゲン』であり、後方脱出が構造的課題だけでなく機構として後方移動する理由が存在する。

ヘルニアは腰椎前弯過多で起きる?反り腰で起きる?後弯で起きる?これを=(イコール)でつなげると楽ですが、実際はどのパターンにおいても起こりうる。

歩くと腰を少し捻ると思いますが、前よりも歩行不足になってくると腰の自然な捻りが無くなり、骨盤や背骨の間にあるヒアルロン酸が減ってしまい、徐々に棒が入ったように固くなっていってしまうんです。

その状態で急に捻ったり、前かがみや座り仕事をしているとヘルニアになっていくんです。

WB、Hip、腰椎の関節連動性における不具合や椎間板の応力偏重が逸脱原因である。

②炎症

それと健康な人でも神経の圧迫はあると言いましたが、症状が出るかどうかは炎症が関係します。

生理重力線からの逸脱があっても、ヘルニアが残っていても、炎症が引けば症状は改善していきます。

ヘルニアに対する施術方法は?

スクリーニングでAS、PI-tがどちらに、どれぐらいの状況で生じているかを見極める。前後屈、B3、Hip、母趾、CGW、PCT、歩容で見る

疼痛が強い場合:手術を検討される方もいる。排尿障害などが無いか確認。アイシングを中心に行い、コルセット使用やヒザ押し体操ぐらいに留める。アイシングを励行すれば痛みは和らぐ。疼痛が弱い場合:上記の話を行うが、話し過ぎないこと。
・面圧(初回)
・療具
・ローラー、リダクター
・運動療法:ヒザ押し→ハイハイ→足上げ→WB体操やBB体操など。
・WM:ミルキング、WBのローテーション
・テーピング:疼痛が強い場合はWBメッシュとテーピングを合わせて貼る。

リハビリ・治療計画

疼痛や痺れの無い状態。
歩行量が十分にとっても問題が無く、定期的に行える状況や意識にある。
主に後屈での違和感が無いこと、その他スクリーニングにおいて問題が無い。そのために生活習慣指導、歩行指導がしっかり出来ていること。健康体になった上で、それを維持するための通院が理想。

その他

鑑別するべきその他の症例は?

圧迫骨折

分離すべり症

脊柱管狭窄症

内科的な痛み

悪性新生物(癌)

ヘルニアでよくある質問

Q.悪い姿勢が続くから骨の配列(アライメント)が崩れる
→仰る通り。なぜ崩れる?→ヘルニア発生前の段階があり、その「非生理期」において何が体の中で起きているかを類推する必要がある。

Q.頚椎や腰椎を支える筋肉の働きが悪いまたは弱い
→筋量がある方でもヘルニアにはなる。インナーマッスルの有無も考えられるが、スポーツや仕事によるヘルニアは無理な動きのし過ぎ。自然治癒力<損耗の割合。青壮年になれば筋量の低下による課題だけでなく、歩行不足による潤滑不全の問題がある。

Q.筋肉や筋膜の柔軟性が低下している
→主に運動過多による問題と、加齢による歩行不足による問題の両面で筋肉及び筋膜の張度亢進が考えられる。

Q.関節の可動性が低下している(とくに肩甲帯や胸椎椎間関節、股関節、足関節)
→運動連鎖によるものは関係性が深い。勉強中。

Q.腰椎5番が多い理由
→L5/S1間の可動域が広い→WBの潤滑不全およびPIによるロッキングで起きる捻転力増大
→水平方向の捻転力に対して、関節面が90度の直角位→剪断力が最も発生する。

なぜB1(L5/S1)は側屈テストなのか?髄核支点の変化などを見る際、垂線に対して前後ではなく左右方向への視点移動が起きることを検出するため→なぜ左右方向への視点移動が起きる?