整形外科的理解
なぜ変形性股関節症が起きるのか?
女性が多く、発育性股関節形成不全の後遺症や股関節の形成不全といった子供の時の病気や発育障害の後遺症が原因の80%といわれています。
また、加齢によって関節軟骨がすり減ったりすることによることでも発症してくることがあります。
一般的な変形性股関節症の治療は?
整形外科
初期:痛み止めや水中歩行や水泳などの運動療法中心
保存治療でも改善がみられない場合は、
初期:骨切り術、進行期・末期:人工股関節置換術の適応となります。
他の治療院
手技治療(マッサージ)や鍼灸治療や超音波療法を用いて筋肉の緊張を緩め、痛みを軽減し、関節可動域を改善する。
運動療法やEMSなどを使ったトレーニングで筋力低下を防ぐ。
検査・鑑別
問診や診察などの後で、股関節の可動域制限や単純X線(レントゲン)で確定します。
必要に応じてCTやMRIなどの検査も行います。
初期:関節の隙間が狭く、軟骨が薄い、軟骨下骨が硬くなったり(骨硬化)します。
進行期・末期:関節内に骨棘形成や骨嚢胞(骨の空洞化)になります。
整形外科テスト:パトリックテスト(軸圧を加えながら行うこと)
構造医学的な理解
変形性股関節症の根本的な原因と診立ては?
構造医学では変形性股関節症の根本的な原因は、ほとんどがWB由来である。
股関節単体で壊れる場合はほとんどなく、股関節単体であれば①引き抜き損傷②直接、大転子をぶつけるが考えられる。
②の場合、大転子をぶつけても耳状面に必ず衝撃が入るため、股関節単体で損傷してもWBと恥骨クランクはリンクするから結局みないといけない。
ASの場合、股関節は前方転移するため外旋位に捻転が入り後方の潤滑不全となる。
PI-tの場合は、股関節は後方転移し内旋位に捻転が入り前方の潤滑不全となる。
結果、WBの状態によって股関節は捻転しWBを代償し使い続けることにより、関節は潤滑不全が起き壊れて変形していく。
変形性股関節症に対する施術方法は?
股関節の施術で大切な5項目
①WBを正しく処置する
WB由来であるため、必ずWBから処置を始めること
②股関節を正しく処置する
WBをクリアした上で残っている場合は股関節を処置。
③患者さんとの意識の違いを埋める
患者さんは基本無知なので、自分が有知になって患者さんに歩く重要性、整形外科との違いを説明できるか。力が入ったうえで治ることを目的とする
④整復精度が低いうちは運動療法や自動運動を重視する
最後の最後で治りきらない場合もあるし時間もかかる。上手く運動療法を組み合わせて行うこと。
⑤患者さんとのコミュニケーション
患者さんは常に不安なので小まめにコミュニケーションをとって不安を取り除く。
正しい歩き方、痛み、立ち方、座り方、冷却、階段の話など自分の足で移動をする重要性を共通言語で理解してもらう。変化の実感を一緒に認識する。
手技療法
初回:面圧+ローラー、股関節の潤滑
2回目以降:WBの整復、股関節の整復や潤滑、水系の処置、ローラー、リダクターなど。
リハビリ・治療計画
治療計画
ステップ1:移動生理の確立
痛みと可動域拡大を追わない段階(痛くても歩きましょう)
2000~3000歩位は歩かないと日常生活は何もできない。5分でも外に出ましょう。
ステップ2:歩容の確立
①堕下歩行(中殿筋歩行)を無くしていくこと
②股関節が90°以上屈曲できること
上記のステップをクリアしていきゴールはちゃんと歩けるようにすること。
リハビリ
運動療法は、爬虫類歩行→はいはい体操→足上げ→WB体操・内またスクワット→BB体操
※パワープレートの振動を使って潤滑を与えるのも効果的。
歩行指導は、堕下歩行(中殿筋歩行)を修正していくこと。痛みが強い場合は股関節サポーターやテーピングを行うのも有効。
その他
鑑別するべきその他の症例は?
・臼蓋形成不全による股関節痛
・ペルテス病
・大腿骨寛骨臼インピンジメントFAI
・特発性大腿骨頭壊死
・大腿骨頚部骨折